ミドリムシ(ユーグレナ)とは?

ミドリムシは、主に淡水域に分布する約0.05mmの単細胞生物で、学名を「ユーグレナ」といいます。

 

このミドリムシ(ユーグレナ)は藻の一種でありながら、鞭毛運動をする動物的な性質を持っています。また葉緑体をもって光合成を行なうという植物の特徴も持つ、不思議な微生物だとされています。

 

このように生物学上で植物と動物、両方の性質を備えている生物であることが、ミドリムシ(ユーグレナ)の最大の特徴だといえます。

 

ミドリムシに含まれる栄養素としては、生育条件にもよりますが、ビタミン類9種、ミネラル類14種、アミノ酸18種、多価不飽和脂肪酸、特有の成分「パラミロン」などが挙げられます。

 

またミドリムシは植物の性質を持つことで、光合成によって成長していくため、太陽光と水、二酸化炭素で育つことができるとされています。

 

さらに高濃度の二酸化炭素の中という過酷な環境下でも成長していけることができ、二酸化炭素の吸収能力も非常に高いと言われています。

 

特にミドリムシの二酸化炭素固定能力は優れているため、地上での二酸化炭素の循環に寄与し、地球環境の保全に貢献できると期待が持たれています。

ミドリムシ(ユーグレナ)の歴史

ミドリムシは5億年以上前に原始の地球で誕生した生き物で、最初に発見したのは、オランダのアントニ・ファン・レーウェンフックであるとされており、ミドリムシの学名の「ユーグレナ」とは、ラテン語で美しい(eu)眼(glena)という意味を持っているそうです。

ミドリムシ(ユーグレナ)

レーウェンフックがミドリムシ(ユーグレナ)を発見したのは、1660年代ですが、1970年代に入ると、ミドリムシはアメリカ航空宇宙局(NASA)にて宇宙開発の視点でも注目されるようになりました。

 

さらに1990年代になると、ミドリムシを使った医療、医療品の開発、二酸化炭素固定などについて研究が行われていたと言います。

このようにミドリムシは様々な可能性を秘めていることは昔から注目されていましたが、他の微生物が少しでも入りこむと、捕食の対象となってしまうことから、ミドリムシの大量培養は難しいとされていました。

 

しかし飢餓の解消や環境の保全など、ユーグレナの可能性に着目した出雲充氏らによって設立された株式会社ユーグレナが、大学におけるこれまでの研究を引き継ぎ、試行錯誤の末、2005年に世界初となるミドリムシの食品としての屋外大量培養に成功しました。

 

そのことによって、近年は、ミドリムシによる世界の飢餓の解消、環境保全、バイオ燃料によるエネルギー問題の解決などの可能性が示されるようになりました。